本の覚書

本と語学のはなし

「自負と偏見」半分終了

 « You are mistaken, Mr Darcy, if you suppose that the mode of your declaration affected me in any other way, than as it spared me the concern which I might have felt in refusing you, had you behaved in a more gentlemanlike manner. » (p.150)

「あら、あなたのあの告白がですね、少しでもわたしの心を動かしたなどとお考えになったら、それこそとんだ間違いですわよ。まあ、強いて効能ということを言えば、もしあなたがですよ、もっと紳士らしい態度でおっしゃったのでしたら、わたしもお断りするのに、さぞ心を痛めたことでしょうのに、おかげでそれが、すっかり助かったってことくらいのものですわよ」(p.300)


 『自負と偏見』はちょうど半分終了。ようやくダーシーがエリザベスに告白をするに至ったが、すげなく断られてしまうという辺り。これからいろんな誤解が解けていくのだろうけど、ストーリーもさることながら英語の方も面白い。
 オースティンの英語は決して難しくない。高校英語が目指しているのはこういう文章を読めるようになることなのだろう(実際には読めないだろうけど)。懐かしい構文のオンパレードだ。だが、高校生向けの英文解釈の例文がそうであるように、一見何を言っているのか分かりにくい文もたくさんある。何度か読み直したりするので、やや時間がかかる。
 引用した部分は、仮に直訳をしてみればこんな風になるだろう。「あなたの告白の仕方は、あなたがもっと紳士的な態度であったら、お断りする際に私が感じたかもしれない心配を免れさせてくれましたが、それとは別の意味でそれが私に影響を及ぼしたと考えるのであれば、ダーシーさん、それは間違っています」。要は工夫を凝らした中野訳のような意味になる。取り違えようはないが、立ち止まってみる方が安全である。オースティンの英語はそういう英語である(少なくとも、今の私にとっては)。