本の覚書

本と語学のはなし

辞令交付

 人事異動辞令書が交付される。異動種目は「辞職」とある。辞職をするような人種は、定年とか勧奨で退職する人と一緒に式に参加することは許されないようで、ナンバー2の部屋でひっそりと辞令を手渡される。
 このナンバー2は、採用試験の面接で「ギリシア語やラテン語なんて何の役にも立たない」と喝破した人である。私の配置と異動は、その正しさを思い知らせることだけを目的としていたかのようであった。私は私で、9年を費やして、この自治体がギリシアやローマと何の関わりもないことを確認したのであった。


 徴税吏員、同期、仕事で関係のあった人たちに、あいさつをする。
 同期の飲み会で話し込んだSさんのところにも寄る。この人のシリアスな顔などおよそ見たことがないのだけど、妙にしんみりとしていた。それでこちらも緊張してしまって、メールをすると言って未だに実行していないことのお詫びでもしようかと思っていたのに、形式的なこと以外は口にしないまま別れて来た。
 私はこれで一生独身だなと思う。まあ、まっとうな社会人として生きていけないのだから、仕方のない話だ。

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