“That hurts my pride, Watson,” he said at last. “It is a petty feeling, no doubt, but it hurts my pride. It becomes a personal matter with me now, and, if God sends me health, I shall set my hand upon this gang. That he should come to me for help, and that I should send him away to his death—!” (p.163)
「ワトソン君、ぼくのプライドに傷がついた」やっと彼が口を開いた。「もちろん、こんなのはつまらぬ個人感情だが、ぼくのプライドに傷がついた。こうなったらぼく個人にかかわる問題だ。神のご加護のある限りこの悪党どもをつかまえてやる。ぼくのところに助けを求めてきた人間を、帰り道で死なしてしまうなんて――!」(p.91-2)
『五つのオレンジの種』を読み終える。
クー・クラックス・クランが登場する。アメリカやインドやオーストラリアでの過去が事件に発展するという話は多い。これもそうである。
だが、結局その背景の詳しいところは何も分からず、犯人のやり口にも、ホームズの解決の仕方にも、結末にも何か釈然としないところの残る作品である。
ある意味では、貴重なホームズ失敗譚の一つであるかも知れない。