本の覚書

本と語学のはなし

【ホームズ】あの女【ボヘミア】

He used to make merry over the cleverness of women, but I have not heard him do it of late. And when he speaks of Irene Adler, or when he refers to her photograph, it is always under the honourable title of the woman. (p.40)

以前にはよく、ホームズは女性の知恵をあざ笑ったりしていたが、最近は、そういうことをさっぱり言わなくなった。そして、ホームズは、アイリーン・アドラーのことを話したり、彼女の写真が話題になる時には、いつでも「あの、、女」という、敬意を表する表現を使っているのだ。(p.54)

 コナン・ドイルボヘミアの醜聞」(『シャーロック・ホームズの冒険』所収)を読了する。
 アイリーン・アドラーとボヘミア王のツーショット写真を取り戻すことを依頼されたホームズであるが、アイリーン・アドラーの方がほんの少し上手だったようだ。
 「あの、、女」と訳されている言葉は、原文では「the woman」である。ウーマンに定冠詞が付いて、さらにそれがイタリックになっている。「あの、、女」が適訳かどうかは分からないが、ともかく、アイリーン・アドラーはホームズにとって、その他大勢ではない例の女性であったのであり、あるいは唯一の女性であったのかもしれないのである。


 ホームズを続けるかどうかは、まだ決めかねている。
 英語は概ね平明で負担になるほどではないはずなのだが、肝心のモンテーニュセネカプルタルコスの原典講読が駆け足になりがちだ。これではいけない。
 これまで通り、職場の休憩時間に新聞を読んでいればいいのかもしれない。休憩時間は異常に眠くなるというのが悩ましいところではあるけど。
 ニュートンニューヨークタイムズ、ホームズをどうするか。しばらく最適解を見つける試みが続きそうだ。