本の覚書

本と語学のはなし

モラリア1/プルタルコス

 全14巻の膨大な倫理論集。第1巻には、『子供の教育について』『どのようにして若者は詩を学ぶべきか』『講義を聴くことについて』『似て非なる友について――いかにして追従者と友人を見分けるか』『いかにして自らの徳の進歩に気づきうるか』の5編を収める。
 古代の百科事典でもあり、名言集でもあり、逸話と引用に満ちている。これを楽しめるかどうかが評価の分かれ道になりそうだ。どうしても注が多くなるが、見開きの左側にまとめてあるので一々ページを繰る必要がない。これはとてもありがたい。ただし、古典に馴染みのない人には、十分な注であるとは言えないかもしれない。歴史、文学史哲学史の基礎はおさえておきたい。
 判断は至って穏当。直接的にはプラトンの系譜に連なるようだが、折衷的で中庸を重んじているらしい。


 私は飽きやすく、移り気であるから、ずっと続くかは分からない。場合によっては、金銭的に続行不可能な事態に陥るかもしれない。
 しかし、モンテーニュプルタルコスセネカの手引きでギリシア・ローマ世界を歩いてみるというのが、残る人生の過ごし方ということになるのではないだろうか。
 文学では叙事詩と悲劇。哲学ではストア派エピクロス派、懐疑派。あと、プラトンも一度は全作品を読んだ方がよさそうに思う。