本の覚書

本と語学のはなし

マンスフィールド・パーク/ジェイン・オースティン

 かなり分厚い上に、道徳心が強調され、オースティンらしいユーモアは控えめな重い作品。
 主人公は、大人しくて従順。多少不謹慎な感情の揺れはあるものの、概ね道徳的に申し分ない。オースティンの描く人物の中では、最も小説的な魅力に欠けているかもしれない。
 享楽的なリージェンシー(摂政時代)に対する反発から、このような作品が出来上がったのではないかと言われているようだ。もっとも、次の『エマ』はこの時代を牽引した当の摂政(後のジョージ4世)に献呈されているのだが。
 賛否両論あるのは当然だろう。オースティンを読んで笑いたい私にとっては、一読目の評価を高く付けることは出来ない。