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はじめての自然農で野菜づくり/川口由一監修

はじめての自然農で野菜づくり

はじめての自然農で野菜づくり

  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: 単行本
 これぞザ・自然農という感じの自然農である。原則は耕さない、持ち込まない、草や虫を敵としない。
 最初に畝を立てるときにも、何も埋めたりすき込んだりしない(ガッテン農法の三浦さんは最初だけいろいろと埋め込むし、川口さんに学んだこともある竹内さんも最初だけいろいろすき込む)。土には何も入れないのが川口流である。
 肥料は与えないか、与えるにしても米ぬかと油かすを少々まくだけ。
 当然ながらポリマルチなど使用しない。畝は雑草を生えたままにしておくか、それを刈り敷く。トンネルも作らない。支柱は必要ならば木材を使う。
 通常整枝が推奨される場合でも、可能な限り放任しておく。無理強いして最大限に収量を増やすのではなく、その作物がその土地で生み出す能力ある分だけを収穫する。


 しかし、あまり家庭菜園向けの本とは言えない。
 一つには、相当広い菜園を想定している。畝幅も広く、条間も株間も広い。キュウリは地這いしか扱っていないが、その地這いキュウリの場合、畝幅は3メートル、1条で株間1.5メートル。私の菜園なら、1株作ったらあとはほとんど何も出来なくなってしまう。ちなみに、ガッテン農法ならば畝幅90センチ、1条で株間は50センチ。畝をはみ出したツルはそこでUターンさせる。
 一つには、混植という発想がまったくなさそうである。広い菜園を想定しているから、ちまちま混植などする必要はないのかもしれないが、私の菜園では死活問題なのだ。


 そんなわけで、仙人のような老人が作務衣姿で行う自然農とはどういうものかと覗いてみた程度で終わったが、扱っている全ての作物について自家採種の方法が書かれているので、もしかしたらいずれ参考にするかもしれない。
 しかし、自家採種と育苗に手を出したら泥沼にはまりそうなので、今は見なかったことにしておく。


【私の菜園の記録】
 つるなしインゲンの種が余っている。農薬処理されたものだが、発芽率が悪く、発芽後も葉が縮れたりして健康とは言いがたい。古い種を使ったせいだろうと思っていたが、ガッテン農法を見て、種のまき方に問題があったのかもしれないと考えた。
 そこで、残りの種を畝の裾にガッテン式で埋めてみた。どのみち古い種であるから、全て使い切る。