岩波書店の「鷗外全集」全38巻と筑摩書房の「フローベール全集」全11巻が届いた。
前者は旧漢字、旧仮名遣いのテキストだけで、全く注釈はない。主要な文学作品を読むためには、岩波書店の「鷗外近代小説集」と「鷗外歴史文学集」、ちくま文庫の「森鷗外全集」などを手に取るべきだ。
ところで、私が最初に買った全集というのは、高校三年生の時の筑摩全集類聚の中の「森鷗外全集」であった。*1ちくま文庫版の前身のようなものである。ところが、文庫の方が収録作品が多いので、数年前、古本屋に売ってしまった。売って後悔したのは、ほとんどこの全集だけである。昔の本というのは案外手元に残らないもので、高校時代以前の本など数えるほどしか現存しない。もう使うことはないけど『ギリシャ語四週間』や『ラテン語四週間』を決して手放しはしないように、この全集も永久保存にするべきだった。
「フローベール全集」の方は、フローベールが寡作の作家だったために、分量は少なめ。紀行文が抄訳になっていたりするので真の全集とは言えないが、原文で主要作品を読むために参照するのが主な使い方だろうから、その点に目くじらは立てない。全ての作品が新漢字、新仮名遣いで読めるというだけでもありがたいのだ。