本の覚書

本と語学のはなし

2007年


 常に不調を抱え続けた1年が終わろうとしている。無駄に費やされた1年と言いたくなってしまう。
 今年を簡単に振り返ると…。


◆8月、精神的不調から役所を退職することに決め、来年4月から金融を専門とする産業翻訳者を目指して勉強することにした。
◆6月、父が脳梗塞で倒れ3か月入院する。今ではよほど良くなり、自分のことはたいてい自分でしている。
◆「タンタン」シリーズに凝ったり、現代日本文学に凝ったりしたが、長続きはしない。レヴィナスとカントをしっかり読み込もうと決める。
◆6月、DiaryNoteからHatenaDiaryに引っ越す。決め手はただ外国語の表記のみ。11月からは雲の写真をアップするようになる。
◆今年の一冊は、須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』(文春文庫)。


 今となっては退職が正しい決断であったか否か分からないし、それどころかなぜ退職することになったのかよく思い出せなかったりもする。だが、やりたいことを選び取ったのだから、仮に路頭に迷ってのたれ死ぬとしても、その時には仕方ないとしか思わないはずである。したがって、正しかったかどうかは知らないが、間違っていたということは不可能なのである。


 月別に振り返ると…。


【1月】
◆「タンタンの冒険」シリーズを集中的に読む。
◆フランス語でレヴィナス『全体性と無限』を読み始める。ドイツ語ではカント『実践理性批判』。
◆今月の一冊は、谷徹『これが現象学だ』(講談社現代新書)。


【2月】
◆呆れて仕事を辞めたいということがあることを初めて知る。フランス語と英語を用いて仕事をすること、フランス語圏か英語圏に移住することに関して、情報を集めようと考える。
◆今月の一冊は、レヴィナス『全体性と無限』(岩波文庫)。


【3月】
◆英仏とも時事の読解に力を入れる。時間をかければ読めるようにはなってきた。
レヴィナスに触発されて、シェイクスピアの読破に取りかかる。
◆今月の一冊は、レヴィナス『時間と他者』(原田佳彦訳,法政大学出版局)。


【4月】
◆夏、ヨーロッパには行かないことに決定。
◆産業翻訳を生業とするという考えをいったん捨てる。
良寛に目覚めて新全集を購入、拾い読み。哲学は読むよりも購入に力を入れる。カント、フッサール、事典。
◆今月の一冊は、通読したわけではないけれど、『定本 良寛全集 第二巻歌集』(中央公論社)。


【5月】
◆独文専修同期のTさんの墓参り。
◆急に文学が読みたくなって、いろいろ買い求める。鴎外こそ私のヒーローであったとあらためて認識する。
◆今月の一冊、ではなくて三冊は、三田誠広「ワセダ大学小説教室」シリーズ(集英社文庫)。


【6月】
◆父が脳梗塞で倒れ、入院。
◆引き続き、現代日本文学特集。
◆今月の一冊は、須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』(文春文庫)。
◆DiaryNoteからHatenaDiaryに引っ越す。


【7月】
◆父はリハビリのために転院。
◆新潟中越沖地震。被害はなし。
◆現代日本文学特集終了。
小田実の『イーリアス』翻訳に刺激を受けて、ギリシア語とラテン語を再開。
◆今月の一冊は、自信が持てないながら、絲山秋子『海の仙人』(新潮文庫)。


【8月】
◆精神的に恐ろしく不調。9年間勤めた役所を年度末に辞めることにする。
◆産業翻訳を生業にすべく動き出す。
◆語学も読書も不調。戦争漫画特集の月。
◆今月の一冊は、こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社)。


【9月】
◆父は退院し、3か月振りに家に戻る。
◆どん底の精神状態からは立ち直るが、職場では相変わらず脳が濁っているような感覚。
◆英語とフランス語のマスターを最優先することに。
◆今月の一冊は、柴田真一『金融英語入門』(東洋経済新報社)。


【10月】
◆新しい生活のために部屋と本の大規模整理。CD棚、本棚、腰に優しい椅子を購入。
◆ギリシア語の入力に関してyumiyaさんにいろいろ教えてもらう。ギリシア語に限らず英数は全部palatino linotypeというフォントを用いて表示するようにした。モチベーション上がる。
◆英語は植田一三『スーパーボキャビル』(ベレ出版)で語彙を増やそうとしただけ。
◆部屋と本の整理に夢中になって読書ははかどらず、今月の一冊はなし。


【11月】
◆気は早いが、タイトルを「本の覚書」から「三歩翻訳研究室」に変える。
◆初めて毎日日記を付けてみた。2代目のデジカメを購入して、可能な限り雲の写真をアップする。
◆今月の一冊は、中島義道『哲学塾 「死」を哲学する』(岩波書店)。


【12月】
◆無線ランにより、自分の部屋からインターネットに接続。
◆来年の「ほぼ日手帳」を使い始める。
◆英語は「Newsweek」、「The Nikkei Weekly」、ペーパーバック、ライティング訓練。
◆その他の言語は、「Reader’s Digest Sélection」、カント、レヴィナスプラトンスピノザ
◆今月の一冊は、安西徹雄『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)。