本の覚書

本と語学のはなし

大人のための図鑑 地球・生命の大進化/田近英一監修

 太陽系と地球の誕生、生命の誕生、大陸の移動、生物の進化から太陽と宇宙の最期まで。地球の全史を写真、イラスト、図とともに、ビジュアル的に分かり易く解説する。
 地学好きのための副読本である。


 原始惑星同士の衝突をジャイアント・インパクと言う。このジャイアント・インパクトによって地球から剥ぎ取られた物質が、月を構成しているのだとする説がある。
 地球は3度、全球凍結を経験している。
 シアノバクテリアの登場によって、大気中の酸素が急増する大酸化イベントが起こり、やがて真核生物の誕生に繋がる。
 カンブリア紀に入ると、生物が一気に多様化するカンブリア爆発が起こる。
 地球環境の変化や隕石の衝突などによって、生物は5回大量絶滅している。最大規模は古生代ペルム紀中生代三畳紀の間にある3回目のP/T境界であり、このときはシベリアの火成活動により海洋無酸素イベントが発生し、海洋生物種の90%、陸上生物の70%が姿を消したと見積もられている。
 中二心をくすぐりそうなワードがたくさん出てくる。


 ところで、老化した太陽は50億年後に巨大化し、地球はハビタブルゾーン(生命生存可能領域)の圏外となってしまう。
 しかし、その頃までには地球の生命は死滅していると考えられている。化石燃料を使い果たすと二酸化炭素濃度が低くなり、やがて植物は光合成をストップする。9億年後にはほとんどの生物が絶滅するだろうというのだ。
 地球や宇宙は常に安定して穏やかに生命を育むだけではないし、人間は盲目的に暴走して自分の首を絞めることもある。果たしてあらゆる危機的なイベントを乗り切ることが人類にできるのだろうか。