本の覚書

本と語学のはなし

じゃじゃ馬ならし/ウィリアム・シェイクスピア

 現代ではなかなか受け入れられそうにない作品。「じゃじゃ馬」キャタリーナが最後に長々と語る貞淑で従順な妻の心得などは、仮に彼女が真の愛を見出した結果だとしても、納得できるものではないだろう。解釈や演出でどうにか出来るものかどうかさえ心許ない。
 昔は人気の作品であったようだ。1633年にはチャールズ一世とその王妃の御前で上演され、好評を得たという。その2日後には、フレッチャーによる続編『馴らされた馴らし屋』が御前上演された。これは「じゃじゃ馬」の死後、再婚したペトルーチオが逆に散々な目に遭うというもの。もしかしたら、当時の人にもバランスを取る必要が感じられていたのかもしれない。このような解釈によって、『じゃじゃ馬ならし』が初めて喜劇として成立するのかもしれない。