本の覚書

本と語学のはなし

居酒屋「ギロチン」

 Tous poussèrent un cri d’horreur. En voilà un, par exemple, qu’ils seraient allés voir raccourcir avec plaisir ! Non, la guillotine, ce n’était pas assez ; il aurait fallu le couper en petits morceaux. (p.321)

 みんな恐怖の叫びをあげた。まったく、そんなやつが首をはねられるのなら、喜んで見にゆくぜ! いや、ギロチンじゃ不足だ。こまぎれにすりゃいいんだ。(p.360)


 数人の仲間が仕事をさぼって居酒屋で飲んでいる時、一人が父親殺しの新聞記事を読み上げ、他の者たちが憤慨する。舞台は1860年ころに擬せられている。
 ギロチンというとフランス革命の時に使われたというくらいの知識しかなかったが、調べてみると、フランスでは1939年までギロチンの公開処刑が行われていたし、最後にギロチンを用いた死刑執行が行われたのは比較的最近の1977年であるという。*1
 『居酒屋』の当時は、死刑となれば、まだ民衆の面前でギロチンによって斬首されていたようだ。


 父が畑の雪を均し、土をのぞかせるための溝をすべて埋め尽くしたので、私の実験観察も終了。結論。労力をかけずに雪を消すには、やたらに溝を掘るよりも、雪の上に畑の土をばら撒く方がよい。土が熱を吸収し、融雪を促進する。広い土地で農業をする人が粉末状の炭を撒くのと同じ原理だ。
 ただし、家庭菜園の雪を一刻も早く消さなくてはならない理由なんて別にない。雪の上の土は見栄えが悪いし、最後の雪くらいゆっくり融けるのを見ていたいものだ。しかし、私が手を付けなくても、せっかちな父の脳にそんな情緒が揺らぐことは一瞬たりともないから、来年以降も親の仇のように容赦なく消され続けるのだ。