本の覚書

本と語学のはなし

『ドグラ・マグラ』


夢野久作ドグラ・マグラ』上・下(角川文庫)
 心理遺伝の押し売りのような内容で、そこにリアリティを全く感じられない私にとっては、かなり退屈な読みものであった。小説がポリフォニーでなくてはいけないということはないが、一つの観念に支配された一面的で起伏の乏しい叙述であるとも思う。ここではいかなる意味でも対話が成立していない。評判のよい理由が今ひとつ分からない。


 表紙のお陰で大変買いにくいのだが、この絵は本文と直接関係ないようである。

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)