昨日、ダンテ『神曲』地獄篇の冒頭を引用した。
学生向けに本文のパラフレーズを載せているエディションを見つけたので、サンプルからちょっと借用して並べてみる。
Nel mezzo del cammin di nostra vita
mi ritrovai per una selva oscura
ché la diritta via era smarrita.
A metà del percorso della nostra esistenza mi ritrovai smarrito in un bosco tenebroso, poiché avevo perso la strada giusta.
現代イタリア人にはこのくらい書き換えないと分かりにくいということなのだろうか。同じ単語が使われているのは「mi ritrovai smarrito」の部分くらいであり、しかも、本文では「smarrito」(迷う、見失う)は「道」にかかっていたのが、パラフレーズでは「わたし」のこととなっている。
もちろん文法を理解していないのではない。詩の解釈として正当なものなのだろう。寿岳文章の訳でも、道は道で見失ってはいるけれども、「わたし」自身も森に「迷いこんでいた」となっている。
