»Nehmen Sie sich in acht«, sagte er darauf, »vor einer großen Arbeit. (p.42)
「あまり大作には用心した方がいいね!」と彼は言葉をついで、(p.57)
ゲーテから聞いた一生ためになる話という前置きがつけられている。ドイツの若い詩人はみな知らなければならないとエッカーマンはいう。
大作には気をつけろ。個々の部分に精通し、それを淀みなく一つの流麗な流れのごとくに表現するには、どれほどの苦労と犠牲が必要なことだろう。
詩人には日々その内部において思想や感情が湧きあがる。だが、大作に関わっている間、ゆとりも余裕も失われ、それら表現を求めているもの、表現されるべきものが、しりぞけられてしまう。
Faßt dagegen der Dichter täglich die Gegenwart auf, und behandelt er immer gleich in frischer Stimmung, was sich ihm darbietet, so macht er sich immer etwas Gutes, und gelingt ihm auch einmal etwas nicht, so ist nichts daran verloren. (p.43)
それにひきかえ、詩人が毎日現在を相手にし、目の前に提供されるものをいつも同じ新鮮な気持で扱っていると、かならず何かよいものができるし、ときにはうまくいかないことがあっても、それですべてが御破算ということにはならないのだ。(p.58)
これは短詩の極意であろう。現在、この現存の内に、おのずから開けてくる世界を、常に変わらず新たな驚きの内に眺め、捉えることができるなら、それで充分成功なのである。
これはまた卑近な事柄に結び付けて解釈したとしても、常に有益な結論を引き出してくれるだろう。大作にはご用心。

