鷗外関係を中心に数冊本を注文したのが届きつつある。とりあえず今日来たものを。
吉村昭『白い航跡』上下。森千里『鷗外と脚気 曽祖父の足あとを訪ねて』。いずれも脚気紛争を扱っている。これについては鷗外の失敗や責任をどの程度のものと考えるか、人によって全く意見が異なる。当時の医学状況、陸軍と海軍の関係、鷗外の陸軍における位置などの評価もさることながら、鷗外の人格や言語に対する好悪にもその振幅が左右されているような印象を受ける。反鷗外としては志田、坂内、吉村ら、親鷗外としては山下の本が手に入りやすいようだ(主題としては扱わなくとも、鷗外擁護を表明するものは多数ある)。森千里は鷗外の曾孫(於菟の孫)だから、後者の側に新たな一冊を加え、鷗外の汚名をすすごうとしている。
島田雅彦『小説作法ABC』。なにも書けないような気はしているのだけど、せっかく世間並みの生活を捨てて世の底辺に生活しているのだから、なにか書かなくてはもったいないような気もする。仕事中にぼんやりする暇もけっこうあるし(そんな日ばかりではないが)、長年の怠惰のためにすっかり羽ばたくことを忘れた空想にも、大いなる飛翔を取り戻してもらわなくては、やりきれない。ネタの仕入れや取材は億劫だけど。
- 作者:島田 雅彦
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: 単行本