本の覚書

本と語学のはなし

読解力不足


 「Newsweek」を読んでいて、難しい単語はないのに、しばらく構文も意味もつかめない文章があった。


 The result was that these elections produced a Parliament dominated by Shia warlords who began fighting over which of them ( or their puppets) would actually run things in Baghdad.


 読めなかった最大の理由は、「which」を関係代名詞としか認識しなかったことにある。「fight over」と熟すること、「run」が他動詞として「経営する」といった意味を持っていることも知っていたが、それにもかかわらず、「over which of them」(何だこれは?)と続けて読んで、「run」は完全自動詞、その主語は後置された「things」と仮定し、何度もそこから意味を汲み出そうと試みた。分かるはずもない。
 なんで最初にこんな不自然な読みに拘ってしまったのか。真実は、おそろしく単純な文章なのに。
 正解。「which」は疑問詞で、それ以下が名詞節として「over」の目的語になっている。名詞節の中で、主語は「which of them ( or their puppets)」、「run」は他動詞、目的語は「things」。すなわち、「彼ら(あるいはその傀儡)の内の誰が実際にバクダッドの主導権を握るかをめぐって戦い始めた」のである。


 んー、読解力がない。これで翻訳者を目指しているなんて言っていいのだろうか。
 ちなみに、薬袋の「Frame of Referenceの要点48」から。「名詞節を作る語は? 従属接続詞のthat・if・whether,疑問詞,関係詞のwhat,関係詞+ever,先行詞の省略された関係副詞」。これを一字一句正確に淀みなく言えるようにしなくてはいけないらしい。私もF.o.R.の要点を暗誦するところから始めるべきかもしれない。