Tutte le opere. Testo latino e nederlandese a fronte
- 作者:Spinoza, Baruch
- 発売日: 2010/04/07
- メディア: ハードカバー
A cura di Andrea Sangiacomo『Baruch Spinoza, Tutte le opere (Testi originali a fronte)』。イタリアで出版されたスピノザ全集である。
Tutte le opereというのは全著作ということ。スピノザの邦訳は『短論文』『デカルトの哲学原理 附形而上学的思想』『エチカ』『神学・政治論』『国家論』『往復書簡集』を持っている。フランス語訳のプレイヤード版に収められているのも、これと同じ内容だ。マイナー版で羅独対訳を持っているのは、『エチカ』と『国家論』だけである。しかし、Amazonで検索してようやく見つけたこのイタリア本には、それら主要著作の他に『ヘブライ語文法要諦』『虹に関する論文』『蓋然性の計算』も含まれており、文字通りの全集となっている。
Testi originali a fronte もしくはTesto latino e nederlandese a fronteというのは、ラテン語及びオランダ語の原典とイタリア語の対訳であるということ。スピノザの原典は『エチカ』を除くとけっこう入手が難しいのだが、この本には全ての著作の原典*1が収められている。大変に貴重な一冊である。
『短論文』第二部第五章「愛について」の冒頭を、オランダ語、イタリア語、日本語(畠中尚志訳)の順に並べてみる。
De Liefde dan onstaat uyt het begrip, en kennisse die wy van een zaake hebben, ende na dat de zaake zig grooter en heerlyker vertoont, daar na is ook de Liefde grooter, en grooter in ons.
L’amore nasce dal concetto e dalla conoscenza che noi abbiamo di un oggetto; e più l’oggetto si mostra grande e eccellente, più l’amore è grande e eccellente in noi.
愛(Liefde)*2は或る事物について我々の有する概念乃至認識から生ずる。そしてその事物が偉大で立派あると我々に思へるに従って我々の愛も亦一層大である。
オランダ語も意味は取れるが、現代とは綴りが違うし、辞書も大して信用がおけないしで、読むのに苦労しそうだ。二種類の訳と突き合わせながら推理をはたらかせて学んでいくしかない。