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本の覚書

本と語学のはなし

神学・政治論(上)/スピノザ

神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)

神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)

 理性的な聖書学の嚆矢である。モーセ五書がモーセによって書かれていたと信じられていた時代(少なくともそう信じるべきであった時代)、モーセ五書から列王記に至る歴史書は、遥か後代に、恐らくはエズラによって、様々な資料をつなぎ合わせて編集されたものであると主張したのは、さすがである。
 しかし、本書は単に神学の本ではない。哲学の本である。タイトルページにはこんなことが書かれている。

本書は、哲学する自由を認めても道徳心や国の平和は損なわれないどころではなく、むしろこの自由を踏みにじれば国の平和や道徳心も必ず損なわれてしまう、ということを示した様々な論考からできている。

 憾むらくは、スピノザは、宗教は本来、自然の光に照らして誰でもが理解可能な単純な道徳を教えるものと位置づけたがっているようである。

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