本の覚書

本と語学のはなし

【ギリシア語】勝手に逃げていけ【イーリアス1】

 『イーリアス』第1巻173-175行の原文と呉茂一訳。

φεῦγε μάλ᾽, εἴ τοι θυμὸς ἐπέσσυται, οὐδέ σ᾽ ἔγωγε
λίσσομαι εἵνεκ᾽ ἐμεῖο μένειν· πάρ᾽ ἔμοι γε καὶ ἄλλοι
οἵ κέ με τιμήσουσι, μάλιστα δὲ μητίετα Ζεύς.

どんどん勝手に逃げていけ、きみの心が急き立てるなら。私としても、自分のために、とどまってくれと頼みはしない。私にはまだ他の人たちがついている、大切にしてくれようというかたがたがな、第一、知謀の御主ゼウスからだ。(p.8-9)

 アキレウスが総大将アガメムノンに対して非難の言葉を向けると、それに対して怒れるアガメムノンが答えていった言葉。
 ギリシアに帰りたければ、勝手に帰るがよいというのである。原文に「勝手に」に相当する言葉はないが、「マラ」という副詞が語気を強めている感じを出すために補ったのだと思われる。
 アキレウスは逃げ帰りはしなかったが、戦闘に参加することは断固として拒んだ。その間、ギリシア方は劣勢に追い込まれる。親友パトロクロスアキレウスの武具を借りて戦場に赴き、殺されたとき、ようやく復讐心がアキレウスに再び武器を手に取らせるのである。


 昨日付けで会社を退職した。
 酷い現場であるし、それを把握しながら何の手も打たずに補充の採用を繰り返す会社も無責任であるとは思う。既に3名の募集がかけられている。そんなに人員が必要なはずはない。1人でも残ればもうけものという発想なのだろう(実際には応募者はあまりいないようだけど)。
 だが、在籍期間はわずかに2か月半である。これだけ短いと何の感情も湧かない。退職を告げてから一度も後悔することはなかったから、間違った選択をしたのではないと思うばかりである。久々の自由も少し肩すかしを食らっている。


 昨日の帰り、会社に寄って保険証を返してきた。その場で資格喪失証を発行してくれた。
 今日はそれを持って役所のサービスセンターに行き、保険と年金の手続きをしてきた。
 離職票が届いたら、多分失業手当の手続きもするだろう。前職の分もまとめて申請できるはずである。
 次の仕事はゆっくり探すことにしたい。同じ施設に別会社からの派遣として行くというのが、金銭的にも時間的にもよさそうなのだが(夕方から夜にかけての勤務なので時給が高く、時間は短い)、他の可能性も十分検討したい。
 時間はたっぷりある。英語のホームズをやめ、ラテン語ギリシア語は新約聖書にしようと思うことがしばしばあるのだけれど、少なくとも今の内はホームズもウェルギリウスホメロスも諦めたくはない。少しばかり映画も見よう(映画館には行かないが)。下らない映画も見よう。