本の覚書

本と語学のはなし

Newton 2022年12月号【感動する数学】

 今年の記事総索引が分野別に整理されている。それを見ると、やはり圧倒的に天文学や宇宙に関する話題が多い。
 医療・生命科学、コンピューター・テクノロジー、自然・生物などはほぼ毎月なにかしらの情報が提供される。数学は均せば2か月に1本くらい。
 逆に、あまり力を入れていないのが化学の分野である。


 感動する数学
 三平方の定理の証明は100以上あるらしいが、ここで紹介されるのはアインシュタインが考案した方法。
 直角三角形ABCの斜辺cから角C(直角になる角)に垂線を引く。三角形ABCの内側にも2つの直角三角形ができる。これら3つの三角形は相似である。相似比はc :a :bであり、面積比はc2 :a2 :b2である。三角形ABCの面積は、小さな2つの三角形の和に等しいから、kc2 = ka2 + kb2となり、両辺をkで割って(k≠0)、c2 = a2 + b2が得られるのである。
 比率から導くというのはなかなかエレガントである。


 ちなみに、小学生でも分かる簡単な方法。
 a+bを一辺とする正方形をつくる。辺の内側に辺aと辺bが角を挟むような直角三角形を4つつくる。4つの斜辺cでできた四角形は正方形なので(証明は中学生にならないとできないかもしれないが)、その面積はc2である。
 三角形を移動させて長方形を2つつくってあげると、もともとc2だった平面は、aを一辺とする正方形と、bを一辺とする正方形を合成したものに変形される。よってc2 = a2 + b2が導かれるのである。
 同じことは、a+bを一辺とする大きな正方形から4つの三角形の面積を引くことでも表現できる。式の展開ができるのであれば、これを計算してもよい。