本の覚書

本と語学のはなし

Newton 2022年9月号【人体の取扱説明書】

 人体の取扱説明書
 日本人は世界でも最も座っている時間の長い国民であるという。1日平均420分(7時間)。コロナの影響で運動不足が顕著である。当然死亡リスクも高くなる。
 驚いたのは、同じ調査で日本と並んで1位になったのが、サウジアラビアであるということ。中東の人のライフスタイルには疎いのだが、冷房の効いたオフィスで終日デスクワークというのが、今や主流なのだろうか。


 「もし?」の物理学
 人間が巨人になったら? あるいはアリになったら? あり得ない設定で思考実験をしてみる。
 ブラックホールを背にすると、全天が狭い範囲に集中して見えるだろうという。背後の天体の光も、軌道を大きく曲げられてブラックホールに吸い込まれていくためである。ただし、事象の地平面より内側に入れば、もうどちらを向いても闇である。あとはただ原子以下にまで引き裂かれ、ばらばらにされながら落ちて行くのみである。


 打ち上げ花火の最新科学
 私の住んでいる地域は花火で有名である。この記事でも紹介されている。しかし、私はもう10年以上花火を見ていない。ほとんど関心が無いのである。
 花火には、酸化剤、可燃剤、炎色剤が入っている。金属の粉で色を表現していることは知っていたが、酸化剤が含まれていることは初耳である。花火の火薬はこの酸化剤の酸素を使って燃焼する。そのため、水上花火というものも可能になるのである。
 諏訪湖の水上花火の写真が掲載されている。見えているのは水上の半円(半球)と水面の反射のみであるが、水中でも下の半円(半球)は開いているのである。


 トポロジー
 やわらかい幾何学の話。
 宇宙の形がどのようなものであり、今度どのようになっていくのか。それは曲率で決まるようだ。現在の観察ではほぼ限りなく曲率ゼロであるが(2次元でいえば、ユークリッド幾何学が成立するような平らな平面である)、真の姿はまだ分かっていない。


 最新がん治療 2022
 武装化抗体という攻撃力の高い薬が開発されている。
 抗体にひもで薬剤を括り付ける。これが抗原を目印にしてがん細胞に侵入し、殺傷し、薬剤はその後、周囲のがん細胞にも広がっていく。


 危機に瀕するオセアニアの野生動物
 アオウミガメの雌雄を決めるのは、卵のときの温度である。最近は高温のせいで、ノーザン・グレート・バリアリーフの子ガメの99%がメスであり、大人になったカメでも86.8%がメスであったという報告がある。
 頻発する火災で、オセアニアの固有種は大きく数を減らしているとも言う。