本の覚書

本と語学のはなし

【ヘブライ語】リベカと戯れている【創世記26:8】

 創世記26章8節。

וַיְהִ֗י כִּ֣י אָֽרְכוּ־לֹ֥ו שָׁם֙ הַיָּמִ֔ים וַיַּשְׁקֵ֗ף אֲבִימֶ֨לֶךְ֙ מֶ֣לֶךְ פְּלִשְׁתִּ֔ים בְּעַ֖ד הַֽחַלֹּ֑ון וַיַּ֗רְא וְהִנֵּ֤ה יִצְחָק֙ מְצַחֵ֔ק אֵ֖ת רִבְקָ֥ה אִשְׁתֹּֽו׃

8 イサクはそこに長い間滞在していた。ある時、ペリシテ人の王アビメレクが窓から外を見ると、イサクが妻リベカと戯れているのが見えた。

 フランシスコ会訳の注釈で気がついたが、「戯れている(メツァヘク)」と「イサク(イツハク)」は同じ語源の言葉であった。


 ץחק(ツァハク)という動詞は、「笑う」という意味である。それが彼の名の由来として、幾たびか語られている。


17章17-19節。

17 アブラハムはひれ伏して笑い、心の中で言った、 「百歳の者に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラが子供を産めるだろうか」。 18 アブラハムは神に言った、「どうかイシュマエルが あなたの前に生き永らえますように」。 19 神は仰せになった、「いや、お前の妻サラがお前に 男の子を産む。お前はその子をイサクと名づけよ。わたしはイサクと契約を立て、それを彼の跡に続く子孫のため永遠の契約とする。

 アブラハムの笑いは、未完了の男性形でイツハクである。


 18章12-15節。

12 サラは心の中で笑って言った、「すっかり老けこん でしまったわたしに、何の楽しみがあろうか。わたしの主人も年老いてしまったのに」。 13 主はアブラハムに仰せになった、「なぜサラは、 『わたしは年をとっているのに、ほんとうにまだ産めるのだろうか』と言って笑ったのか。 14 主にとって不可能なことがあろうか。来年の今ご ろ、わたしはあなたの所に戻ってくる。その時、サラには男の子が生まれている」。 15 サラは恐れて、「わたしは笑いませんでした」と 言って打ち消した。主は仰せになった、「いや、あなたは確かに笑った」。

 サラの笑いは、未完了の女性形でティツハク、完了の女性形でツァハカー(3人称)、ツァハクティ(1人称)、ツァハクトゥ(2人称)である。


 21章6節。

6 サラは言った、「神はわたしに笑いをくださいました。このことを聞く者は誰でも、わたしとともに笑うでしょう」。

 ここでは不遜な嘲笑から、喜びの笑い、祝福の笑いへと変化する。名詞の笑いはツェホクであり、万人の笑いは未完了の男性形でイツハクである。
 なお、「わたしとともに笑うでしょう」もしくは「私に笑いかけましょう」(岩波訳)の「イツハク・リー」という言葉は、岩波訳の注釈によれば、「イサクは私のもの」とも聞こえる。誰が高齢出産を笑おうとも、イサクはわが子であるとの含みがあるという。


 同じ動詞がピエルという形になると、「遊ぶ」とか「からかう」という意味になる。
 21章9-10節。

9 サラはエジプト人ハガルがアブラハムに産んだ子が 自分の子イサクをからかっているのを見て、 10 アブラハムに言った、「このはしためとその子を追 い出してください。このはしための子は、イサクと一緒に跡継ぎになるべきではありません」。

 パウロが引用したお陰で、まるでイシュマエルがイサクを迫害したかのように理解されているかもしれないが(ガラテヤ4:29)、実際にはせいぜい「からかっている」程度で、単に一緒に戯れ遊んでいただけのことかもしれない。


 これが男女の間のこととして使われると、性的な含みを持つのはもちろんのことである。
 最初に引用した26章8節では21章9節とまったく同じピエルの分詞形メツァヘクが使われているけれど、AMPは後者を「mocking」と訳しているのに対して、前者を「caressing」としている。


【家庭菜園】
 C(主としてキュウリとゴーヤーの畝)にラッカセイを定植する。
 よく見ると、直播きの種も発芽して育っていた。ラッカセイは温かくさえなれば容易に発芽するものらしい。
 葉が茂るころに密植を後悔するかもしれない。


 Dにキュウリを定植。15日に定植した3本の苗の内、1本が育たなかったので、植え直した。
 雨の日に支柱に葉が貼り付き、そこから傷みが生じた。最後は虫にも食べられたようだ。徒長苗はやはり弱い。


 Gにツルムラサキを定植。
 余った苗を捨てるに忍びなくて、少々のエダマメを育てている脇に2本植えた。巨大化した後で激しく後悔するに違いない。


 ポット苗の残り。
 ラッカセイ2株。Dのサニーレタスを終えた後、キュウリのネットを張る前に畝の中央に定植する予定。
 キュウリ3株。Dのキュウリの予備として残しておくが、必要が無くなれば捨てなくてはならないと思う。それとも何とか場所を確保し、1本仕立てで小さく育てるか。


 セルトレイのサニーレタスとラディッシュは順調に発芽し、育っている。今のところ徒長しすぎると言うこともない。
 サニーレタスはいずれ畝の端に定植する予定。ラディッシュは可能であればセルトレイで収穫まで育てる。


 Aのシュンギクはもう収穫できそうに思われる。
 Eのエンサイ(クウシンサイ)は遠からず摘芯して、それを初収穫とすることができるだろう。
 BのトマトとCのキュウリは既に実が成り始めているが、まだ色づかず、あるいは大きくもなっていない。