- 作者:ウィリアム・シェイクスピア
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
その倦怠感のせいではないけれど、ビューヒナーに対する熱はすっかり冷めてしまった。注文していた原典はキャンセルする。ドイツ語では現代版のルター訳を読み、いずれはルターの訳そのものに挑戦しようと考えている。
聖書と古典古代、宗教改革とルネサンス。私の語学はその間を彷徨するのであろう。
『恋の骨折り損』は言葉の掛け合いが楽しいはずの喜劇である。楽しめなかったのは気分が優れなかったせいではなく、翻訳で読むことの限界なのだろうと思う。
なお、この作品に出てくるナヴァール王ファーディナンドは、後にフランス王アンリ4世になる人のことだと考えられている。エリザベス女王は新教徒のアンリに援助の手を差し伸べていたが、彼はフランス王になるや旧教に改宗する。ところがスペインに宣戦布告すると、再び彼はエリザベスと手を結ぶ。創作年代を考える上で、考慮を要する事柄のようだ。
ちなみに、このナヴァール王はモンテーニュの城館を訪れたこともある。毒味もさせずに食事をし、モンテーニュのベッドで寝たという。フランス王になってからも、モンテーニュを側近として迎えようとまで考えていた。