本の覚書

本と語学のはなし

恋の骨折り損/ウィリアム・シェイクスピア

 仕事柄、ワクチン注射を既に2回済ませた。2回目の副反応はひどくて、頭痛、関節痛、悪寒、倦怠感のために、今日はずっと寝ていた。仕事が休みでよかった。
 その倦怠感のせいではないけれど、ビューヒナーに対する熱はすっかり冷めてしまった。注文していた原典はキャンセルする。ドイツ語では現代版のルター訳を読み、いずれはルターの訳そのものに挑戦しようと考えている。
 聖書と古典古代、宗教改革ルネサンス。私の語学はその間を彷徨するのであろう。


 『恋の骨折り損』は言葉の掛け合いが楽しいはずの喜劇である。楽しめなかったのは気分が優れなかったせいではなく、翻訳で読むことの限界なのだろうと思う。
 なお、この作品に出てくるナヴァール王ファーディナンドは、後にフランス王アンリ4世になる人のことだと考えられている。エリザベス女王は新教徒のアンリに援助の手を差し伸べていたが、彼はフランス王になるや旧教に改宗する。ところがスペインに宣戦布告すると、再び彼はエリザベスと手を結ぶ。創作年代を考える上で、考慮を要する事柄のようだ。
 ちなみに、このナヴァール王はモンテーニュの城館を訪れたこともある。毒味もさせずに食事をし、モンテーニュのベッドで寝たという。フランス王になってからも、モンテーニュを側近として迎えようとまで考えていた。