本の覚書

本と語学のはなし

マクベス/ウィリアム・シェイクスピア

 魔女たちの予言に唆されて、王位を簒奪したマクベス。しかし、彼に統治の才覚はなく、やがて亡命した王子や貴族らの反乱軍に倒される。
 一方、国王を生み出す者と魔女たちに言われたバンクォーは、マクベスに暗殺され、その息子も難を逃れたきり二度と劇には登場しない。この予言はどうなったのか。
 ステュアート朝のジェイムズ一世はバンクォーの子孫であるという説がある。*1そして、『マクベス』はジェイムズ一世が、デンマーク王のイギリス訪問を歓迎して上演させたものだとする説がある。
 そうだとすれば、魔女の予言は国王の観劇の瞬間に成就したのだろう。


 シェイクスピアを専門には出来ないと思う理由の一つに、実際の舞台を一度しか見たことがなく、これからも見る機会はないだろうということがある。
 学生時代、教養科目の演劇を履修したときの課題に、シェイクスピアと現代劇を少なくともそれぞれ一本以上観ることというのがあった。どちらも何を観たのかすっかり忘れてしまった。どちらも病みつきになるほどの体験とはならなかった。
 あれ以来一度も舞台に足を運んだことはない。

*1:14世紀初め、スコットランド王家のマージョリーと結婚したウォルター・ザ・ステュワードは、シェイクスピアの当時、バンクォーの子孫と考えられていた。