本の覚書

本と語学のはなし

シャーロック・ホームズ全集 第18巻 ソア橋事件/コナン・ドイル

 「ソア橋事件」(『事件簿』)、「プライアリイ・スクール」(『帰還』)、「ショスコム・オールド・プレイス」(『事件簿』)、「三人ガリデブ」(『事件簿』)の4編を収める。
 何となく『事件簿』も読んだことがあるのではないかという気がしてきた。


 「三人ガリデブ」より。

傷なんか何だったろう、いや何十という傷を受けたってそれが何だったであろうか――あの冷たい仮面の背後にこんなにも深い誠実と愛情が秘められていたことを知った今では。はっきりとした強烈な目が一瞬涙にくもり、その引きしまった唇がわなわなとふるえていた。あとにも先にもこの時にだけ、私は偉大な頭脳とともにある偉大な心を垣間見たのであった。ささやかで誠実な私の手助けの日々のすべてが、啓示のこの一瞬のためにあったのである。(p.191)

It was worth a wound—it was worth many wounds—to know the depth of loyalty and love which lay behind that cold mask. The clear, hard eyes were dimmed for a moment, and the firm lips were shaking. For the one and only time I caught a glimpse of a great heart as well as of a great brain. All my years of humble but single-minded service culminated in that moment of revelation.