本の覚書

本と語学のはなし

シャーロック・ホームズ全集 第4巻 まだらの紐/コナン・ドイル

 「まだらの紐」(『冒険』所収)、「入院患者」(『思い出』所収)、「独身貴族」(『冒険』所収。河出書房新社新潮文庫では「花嫁失踪事件」というタイトル)の3編とベアリング・グールドの解説2編を収めている。


 この全集は事件の発生順に作品を並び替えているのだが、年代学者の間にも完全な意見の一致が見られるわけではなく、あくまでもベアリング・グールドの研究に基づく推定年代の順番である。
 「独身貴族」には、ロバート・セント・サイモン卿からホームズに宛てた手紙の中に、バックウォーター卿の推薦があったことが書かれている。この人は「シルヴァー・ブレイズ」(または「白銀号事件」)にも出る人で、よって彼がホームズに太鼓判を押すのは、「シルヴァー・ブレイズ」が「独身貴族」よりちょっと前に起こった事件であるからだと考える人もいる。
 しかし、ベアリング・グールドによれば、「独身貴族」は1886年10月6日のことであり、「シルヴァー・ブレイズ」はそれよりずっと遅く1890年9月25日から30日のこととされる。
 どちらが正しいかはともかく、この全集の編集を絶対視しすぎてはならないだろう。


 ホームズ・シリーズは単なる推理小説として読むことはもう難しいのかもしれない。
 しかし、歴史の綿密な考証(ヴィクトリアーナやドイリアーナ)や、時に行き過ぎとも思われるホームズ学(シャーロッキアーナ)によって、新たな精彩を加えられており、そのためだけにも読む価値はある。


【筋トレ】
 脚と腹も久々に鍛え、全身の筋肉にやや張りが戻ってきた。
 軽めの内容でも、継続すればそれなりに成果は出る。


【家庭菜園】
 エンサイ(クウシンサイ)を終わりにした。
 ほとんどわき芽が出てこなくなったし、間に種を撒いたダイコンが大きく育ってきたので。