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農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園/小川幸夫

農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園

農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園

  • 作者:小川幸夫
  • 発売日: 2018/05/26
  • メディア: 単行本
 就農当時の著者は農薬を使っていた。凝り性のためにあらゆる農薬を試し、研究したという。確かによく効く。だが、その内に感覚が麻痺する。使用頻度も使用回数もどんどん増えていく。
 農薬はすっぱりと止めて、生物農薬といわれる、商品化された益虫を購入することにした。しかし、生き物を思い通りにコントロールすることは難しい。
 行き着いた答えが、在来の天敵(害虫にとっての)が住み着きやすいような環境を作り、彼らに害虫駆除の手伝いをしてもらうというものだった。
 「虫といっしょに」というときの虫とは、いわゆる益虫のことであり、あらゆる虫に愛情を注ぐという博愛主義が説かれているわけではない。ヨトウムシ、ネキリムシ、シンクイムシなどは三大極悪イモムシとまで言われて、忌み嫌われている。農業という営みは、なかなか罪深いものなのだ。


 この本の良いところ。
 全てではないが、成虫、幼虫、卵の写真が載っていることが多い。点と点が繋がり、線になる。
 益虫の情報も多い。誤って益虫を捕殺したり、益虫の卵を潰すことが減るだろう。
 最後の3分の1程が畑の虫図鑑になっているので、検索が楽である。


 この本を読んでいて、そうだったのかと思い当たることもある。
 一時エダマメの葉に大量の小さなアオムシが発生したことがあった。当時はアオムシ、すなわちモンシロチョウの幼虫かと思っていたが、あれはヨトウムシの若齢幼虫だったのだ。ヨトウムシは1枚の葉に大量の卵を産み付ける(モンシロチョウは1個ずつしか産卵しない)。孵化すると、最初は集団でその葉を食い漁り、段々と周りの葉や株に移動していく。
 野菜づくりの本に付いているおまけ程度の害虫紹介の写真では、焦げ茶色の終齢幼虫のふてぶてしく禍々しい様子しか知ることが出来ないが、小さな頃はまだ青くて弱々しいのである。
 どうなることかと思ったエダマメも、その後は無事に育ってくれた。あと1回で収穫を終える。


【家庭菜園】
 6月2日に播種したシュンギクをようやく収穫する。
 育て方が悪いのか、時期のせいなのか、あまり大きくはならない。


 2本しかないツルムラサキの苗の内、1本がネキリムシに倒された。
 そこそこ大きくなっていたので大丈夫と思っていたが、容赦ない。苗カバーを被せられる限りは、外さない方がよかったか。
 17日に播種したエンサイがほとんど発芽しているので、いずれ間引いて欠株のところに移植するつもりでいる。


 17日に播種したニンジンは、点まきした全ての箇所から発芽した。
 ニンジンは発芽さえすれば大丈夫と言うが、最後までちゃんと育てる自信はない。
 ちなみに、今回のまき方は福田俊さんが最近動画でやっていた方法を真似してみた。福田さんは自作の溝切りくん(だったか、そんな名前の道具)でV字に深く溝を付け、その底に1か所4、5粒の種を点々とまいていく。その上にもみがらを少々被せ、また溝切りくんを用いて鎮圧する。
 私は板の角を利用したので、それほど深い溝にはならない。種をまいた上に被せるのも、もみがらがないので、くん炭で代用した。鎮圧は板の角だけでは不安なので、最後は指で強く押してみた。


 同じく17日に播種した秋キュウリ。
 3粒ずつ3か所にまいたのだけど、現在育てているキュウリの側のところは、3つとも発芽した。エンサイ側のはまだ1つも発芽しない。
 場所の差だろうか。確かにキュウリを育てているところは、私の畑の中の一等地であるかもしれないが、1メートル半程度西に行っただけで、それほど違うものだろうか。


 初収穫が近いもの。ミニトマト、ゴーヤー、エンサイ(クウシンサイ)。
 花が咲き始めたもの。トウガラシ(あるいはシシトウ)。
 もうすぐ花が咲くかも知れないもの。マリーゴールド。同日(6月18日)に種をまいたサルビアはほとんど成長しない。そういうものなのか、時期が遅すぎたせいなのか知らないが、花はあまり期待はしていない。