本の覚書

本と語学のはなし

ヘンリー四世 第一部/ウィリアム・シェイクスピア

ヘンリー四世 第1部

ヘンリー四世 第1部

 従兄弟のリチャード二世から王位を奪ったヘンリー四世であったが、彼の成功に最も寄与した一族が謀反を起こして、再び内戦が始まる。第一部はホットスパー(熱い拍車)と綽名されたヘンリー・パーシーの死まで。
 50ページほど読んで、なんだか話が飛躍しているようだと感じてよく見たら、間違って第二部を先に読んでいた。第二部は、ホットスパーの死が父のノーサンバランド伯に伝えられるところから始まる。ノーサンバランドとヨーク大司教の軍、マーチ伯(ホットスパーの義兄弟で、リチャード二世は彼を後継者として指名していたと言われる)とウェールズのグレンダワーの軍とが、これから王との決戦に望むことになるのだろう。


 歴史劇ではあるが、政治と戦争とに終始する物語ではない。王子(後のヘンリー五世)とつるんで悪事を働き、暴食鯨飲する無頼漢フォールスタッフが、かつてはこの劇の主人公と考えられていた。
 エリザベス女王の要請を受けて(と伝えられる)『ウィンザーの陽気な女房たち』に再び登場することになった、あのフォールスタッフである。
 彼の創造によって、歴史劇と喜劇が奇妙に融合した。名誉のために戦死した貴族の死体の側で、直ぐさま名誉が相対化される。

フォールスタッフ ロンドンじゃあ飲み逃げって手で勘定をのがれることもできたが、ここじゃあそうはいかん、鉄砲の弾丸には人間と違って感情がないからな、いきなりいのちで勘定を払わされる。待て! だれだ、おまえは? サー・ウォルター・ブラントじゃないか、これが名誉ってもんだ!(第5幕第3場)

【振り返り】2021年4月

【語学・読書】
▼聖書の通読は、フランシスコ会の邦訳から、ドイツ語のルター聖書1984年版にバトンタッチ。申命記を読み始める。
▼語学は低調。シェイクスピアの翻訳を優先してしまう。シェイクスピアは喜劇を終えて歴史劇に入る。残り11冊。来月中に終わるかどうか微妙。
▼ようやく各言語の専門が定まった。年頭の宣言とはちょっと異なるので、改めて書いておく。
  ヘブライ語旧約聖書
  ギリシア語:新約聖書
  ラテン語アウグスティヌス
  ドイツ語:ルター聖書
  フランス語:モンテーニュ
  英語:シェイクスピア

グラナダのドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』を見終える。現在視聴しているのは『シェイクスピア&ハサウェイの事件簿』。シェイクスピアという名の女性と、ハサウェイ(ウィリアム・シェイクスピアの妻の名はアン・ハサウェイと言った)という名の男性による探偵コンビが、劇作家の故郷ストラトフォード・アポン・エイボンで活躍する。ドラマの内容はシェイクスピア劇とは関係ない。


【筋トレ】
▼ようやく復活を宣言してもよいように思われる。
▼2分割から3分割へ、3種目ずつから4種目ずつへ。少し欲張ってみる。ただし、重量はやや軽め。ゆっくり丁寧に行うところから再出発する。
▼種目数や重量は、継続可能なちょうどよい地点をまだ探っている段階である。


【家庭菜園】
▼22日、ダイコン播種。月末にやっと発芽し始める。
▼23日、セルトレイで育苗してきたコマツナ、サニーレタス、葉ネギを定植。マリーゴールドを鉢上げ。ポットにマリーゴールドサルビアの種をまく(発芽しないので、30日にサルビアだけ撒き直し)。
▼26日から27日、3月3日に仕込んだぼかしを乾燥させる。
▼私の住んでいる地域では、直播き、定植ともに4月はまだ早すぎるようだ。来年からはゴールデンウィーク後まで待つことにしよう。


ドラマ

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シャーロック・ホームズの冒険 第4弾(字幕版)

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  • 発売日: 2015/12/25
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リチャード二世/ウィリアム・シェイクスピア

 リチャード二世はエドワード黒太子の子。王としては暴政を敷き、貴族からも民衆からも見放される。
 イギリスから追放された従兄弟のボリングブルックは、父ランカスター公の死後、不当に領地を没収されたことに異議を唱え、反乱を起こして王位を簒奪する。これがランカスター朝のヘンリー四世である。
 もう一人の従兄弟である、ヨーク公の息子オーマールは、リチャード二世の側につき、ヘンリー四世即位後にも謀反を企てる。
 エドワード三世の子どもたちの代には一つであったものが、孫たちの代にいたって散り散りになった。ここに既にバラ戦争の萌芽が兆しているようだ。


 リチャード二世は幽閉後、ヘンリー四世の意志を忖度した騎士によって暗殺される。
 だが、彼は腹黒い悪漢としてのみ描かれているわけではない。全編韻文で書かれているこの劇にあって、最も優れた詩人は王位を廃された後のリチャード二世である。