本の覚書

本と語学のはなし

シャーロック・ホームズ全集 第3巻 緋色の研究/コナン・ドイル

 ベアリング-グールドが詳しい注と解説を書いた、シャーロキアン必携の全集である。
 事件発生順に配列されている。書かれた順でも発表された順でもない。したがって、第2巻に収められた最初の事件は、『思い出』(あるいは『回想』)に収められた「グロリア・スコット号」と「マスグレイヴ家の儀式」である。これらはワトソンと出会う前に起きたことだ。他にも、言及されているもの、いないものも含めて、ワトソン以前の事件は多々あるが、記録はされていない。


 第3巻の『緋色の研究』において、探偵と医師が初めて出会う(「アフガニスタンにおられたんですね?」。原文では ”You have been in Afghanistan, I perceive.”)。もちろん最初に書かれたホームズである。
 子どもの頃にも学生時代にも読んだことがあるから、直ぐに「ああ、この(モルモン教の)話だったか」と思い出す。
 注のお陰で、見えていなかった様々な矛盾や誤謬(ホームズの実在を仮定することによって生ずる不都合もあるが、そうでないものもかなり多い)が見えてくる。それをどう解釈し、解決するかと言うこともシャーロキアンの腕の見せ所である。
 しかし、真の意味でのシャーロキアンの営みというのは、ホームズを通じてヴィクトリア朝の文化や風俗などを研究することであるようだ。単なる神学のパロディー以上のものがこの世界にはある。


【家庭菜園】
 家庭菜園をやっていると、次から次に問題が起こる。キュウリの支柱が根元から折れてしまった。
 昔から使っているものだから、中の金属が曲がったり傷ついたり腐ったりしているのだろう。来年は新しい支柱を購入することにしよう。
 秋のキュウリもなかなかおいしい。うどんこ病が蔓延する前に収穫を済ませることができるかどうか。