本の覚書

本と語学のはなし

ただ涙のみがわたしにとって甘美なものとなり【ラテン語】

Confessions, Volume I: Books 1-8 (Loeb Classical Library)

Confessions, Volume I: Books 1-8 (Loeb Classical Library)

  • 作者:Augustine
  • 発売日: 1912/01/15
  • メディア: ハードカバー
告白 上 (岩波文庫 青 805-1)

告白 上 (岩波文庫 青 805-1)

factus eram ipse mihi magna quaestio, et interrogabam animam meam, quare tristis esset et quare conturbaret me valde, et nihil noverat respondere mihi. et si dicebam: "spera in deum," iuste non obtemperabat, quia verior erat et melior homo, quem carissimum amiserat, quam phantasma, in quod sperare iubebatur. solus fletus erat dulcis mihi et successerat amico meo in deliciis animi mei. (4.4.9)

わたし自身、わたしにとって大きな謎となり、わたしは自分の魂に、「なぜ悲しむのか、なぜわたしを、ひどく苦しめるのか」とたすねたが、わたしの魂は何も答えることができなかった。また、わたしが主に望みをおけといっても、魂がしたがわなかったのは当然である。わたしの魂が最愛のものとして失ったその人は、わたしがそのとき望をおけと命じた神の仮装よりも真実でまさっていたからである。ただ涙のみがわたしにとって甘美なものとなり、わたしの友にかわって、わたしの心の喜びとなった。(p.100)

 友人は熱病に冒され、瀕死の状態で洗礼を施された。意識が戻り、アウグスティヌスがこの洗礼をからかおうとすると、友人は自分が受洗したことを知っており、そのような嘲笑はやめるようにと言って、アウグスティヌスを驚かせた。
 しかし友人は、ぶり返した熱にあっけなく命を奪われるのである。


 「主に望をおけ(spera in deum)」とアウグスティヌスは自らの魂に命じる。しかし、この神(deus)は、直ぐに仮装(宮谷訳では幻像)であると言い直される。原語ではファンタスマ(phantasma)であり、英訳では fantastical god となっている。
 ファンタスマはもともとギリシア語である。新約聖書でも、湖上を歩くイエスを見て弟子たちが「幽霊だ」と叫んだ(マルコ4:49、マタイ14:26)ときの、「幽霊」として使われている。
 つまり、ここで「神に望を」とアウグスティヌスが言うとき、それはまだキリスト教の神ではなく、「わたしは、かれがまだ年少のため、まだほんとうに心から受け入れていなかった真の信仰からかれを誘い出して、母がいつもわたしのために嘆いていた、あの迷信的で破滅に満ちたつくり話に引き入れた」という、そのつくり話の世界の神なのであろう。


 暫くラテン語とドイツ語は聖書の翻訳を読むだけであったが、またアウグスティヌスとタイセンを再開した。
 始めては止めてを繰り返しているけれど、私は役にも立たない言語の役にも立たない本を読むくらいしか能がないのだから、これからはずっと続けたい。


【菜園の記録】
 キュウリの背丈が支柱を超えたので摘芯する。これから収穫が本格化するのだろう。


 ゴーヤーも支柱の先に届いたが、摘芯すべきという本もあれば、何も書いていない本もあり、放任したければそれでいいのかもしれない。
 貰いものの苗の方も、徐々に大きくなってきている。
 収穫はまだ先である。


 試しに、通路の一つにヘアリーベッチの種をまいてみた。
 通路で育てていたエンバクの一部は、刈って畝に敷いている。


 今更ながらではあるが、マリーゴールド(防虫効果が高いとされるアフリカンではなく、背丈の低いフレンチ種)とサルビア(赤と青)の種もまいてみた。直まきである。苗カバーを購入したので、それを被せて保護している。


 同じ条件下で育てていたカブとミズナとカラシナの内、虫食いの被害が一番少ないのはカラシナであった。
 ミズナは諦め、カブは可能性のありそうなものだけ移植し、空いたスペースに茶豆とエンサイの種をまく。初期生育を守るため、苗カバーを被せる(トマトの畝の端の茶豆は、けっこう虫食い被害に遭っている)。
 エンサイ(クウシンサイとかアサガオナとかいろいろな呼び名がある)は夏でも収穫できる葉物野菜であるが、害虫はあまりつかないらしい。アブラナ科は満足に育てられそうにないので、これとツルムラサキが救世主になることを願う。


 サツマイモの苗が鹿児島から届いたので、早速植え付ける。
 あまり期待はしていないが、もし私の畑でもちゃんと育つものならば、毎年作りたい。


 つるなしインゲンの収穫が始まる。種をまいてから50日くらい。同じ畝のエダマメも莢が少しずつ大きくなってきている。超密植で大変なので、必要なさそうな葉っぱは切り落とす。
 この畝が空き次第、オクラとツルムラサキの播種を予定している。


 ミニトマトも中玉トマトも段々大きくなって、花も咲いている。通常1本仕立てが推奨されるようだけど、3本仕立てに挑戦するつもり。
 花の下のわき芽はたくましい。


 小ネギの扱いに困っている。当面は放任する。


 寝かせておいたボカシ肥料を開ける。甘酸っぱい匂いがするといいらしいが、もっと漬物寄りのきつい発酵臭である。成功か失敗か分からない。しかし、腐敗臭とかアンモニア臭がするわけではないので、乾燥させて使うことにした。
 今回の仕込みは5キロ。使い切れないかもしれない。乾燥させるのも大変だ。次回からはもう少し量を減らそう。