本の覚書

本と語学のはなし

楽々ズボラ菜園 コツのコツ/南洋

 ズボラと自称しているが、私の目にはむしろマメな人に見える。
 私の菜園と南さんのそれとは規模が全く違うので、不耕起を選択することで節約できる労力にも雲泥の差がある。私の小さな畑にとっては、節目節目で耕し直し、リセットする方がむしろ簡単なことのように思われる。不耕起のメリットを体力の温存に求めることはない。それで、ズボラと言われてもピンとこないのかもしれない。
 規模が違いすぎて真似の出来ないことは多い。南さんの畑は畝幅140センチで、株間も条間も畝間もたっぷりとる。この本では畝幅110センチを想定しているけれど、それでも一般的な家庭菜園としては広すぎる。連作障害を避けるために輪作を勧めるけれど、そのためには畝を10本以上作らなくてはならないとも言う。私にはとても無理である。
 ところで、有機栽培では土壌微生物が活躍するし、科の異なる作物を混植することが多いので、連作障害は起こりにくいと言われている。なぜ南さんが連作障害を気にしているのかと言えば、有機を理想としつつも化成肥料をばんばん使うし、異なる科の作物を混植することもないからである。輪作でローテーションするから汎用性のある広い畝が必要なのだとも言えるし、それだけの土地があるから混植する必要もないし完全有機に移行する必要もないのだとも言えるかもしれない。


 南さんの農業の特徴。
 三層マルチ。先ず畝の上に堆肥、刈草、油かす、鶏糞などを敷く。次に黒ポリマルチ、そしてその上に刈り取った雑草や残渣が載せられていく。雑草がはびこるのを抑えながら、土の中に豊かな動物や微生物の世界を広げることができる。冬の間はポリマルチを剥がし、上に載っていた草を畝に戻し、鶏糞や油かすを施して土ごと発酵させ、養生する。
 なるべく種を直まきし、底を切り取ったペットボトルで覆って保護する。
 道具はある物を利用して自作する。
 規模の問題は別としても、全面的に真似をするという訳にはいかない。断片的にアイディアを利用する程度かもしれない。