本の覚書

本と語学のはなし

礼拝 信仰生活の手引き/越川弘英

礼拝 (信仰生活の手引き)

礼拝 (信仰生活の手引き)

 私の住む市の中心を大きな川が流れている。台風19号が通った朝、あと少しで堤防を乗り越えそうなほどに水嵩が増した。氾濫していたら被害は甚大であった。
 台風が過ぎ、夕方、出勤するときにその川に架かる橋を渡り、堤防を通った。かなり水は引いたものの、それでもかつて見たことがない川の姿であった。


 読了した本は、日本基督教団が「信仰の手引き」シリーズとして出している入門書の一冊。他に伝道、聖書、教会、祈りなどをテーマにしたものが出版されている。
 カトリックのミサの中心は聖体拝領という秘跡であるが、プロテスタントの礼拝では牧師による説教に重きが置かれている。しかし、全く別物というわけではなく、それぞれに神の啓示とそれに対する会衆の応答、そして隣人への働きかけという同じような構成の式の中で、それぞれの特徴を表すように力点が異なっているのである。
 これはプロテスタントの本であるから、反省は自ずとプロテスタントの礼拝に向かう。礼拝を表す英語には worship や service などがあるが、最近は liturgy を使うことも増えている。語源的に「神の民のわざ」という理解が含まれるからだそうで(ギリシア語のレイトゥルギアは「奉仕」や「儀式執行」などを表す言葉で、「神の民のわざ」につながるのかどうか私には分からない)、礼拝は牧師やリーダーたちが主体となって行うだけのものではなく、会衆みなが参与すべきものであるという考えを押し出した用語である。そもそもプロテスタントでは万人が司祭である。「神の民のわざ(レイトゥルギア)」によってこそ、「神の民の集い(エクレシア)」が造り上げられるのである。
 カトリックのミサの本も読んでみたくなった。