本の覚書

本と語学のはなし

大道を行く鏡【フランス語】

Rouge Et Le Noir Stendhal (Folio (Gallimard))

Rouge Et Le Noir Stendhal (Folio (Gallimard))

赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9

赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9

Eh, monsieur, un roman est un miroir qui se promène sur une grande route. Tantôt il reflète à vos yeur l’azur des cieux, tantôt la fange des bourbiers de la route. Et l’homme qui porte le miroir dans sa hotte sera par vous accusé d’être immoral ! Son miroir montre la fange, et vous accusez le miroir ! Accusez bien plutôt le grand chemin où est le bourbier, et plus encore l’inspecteur des routes qui laisse l’eau croupir et le bourbier se former. (p.357)

さて、諸君、小説というものは大道に沿うてもち歩かれる鏡のようなものだ。諸君の眼に青空を反映することもあれば、また道の水溜りの泥濘を反映することもあろう。すると諸君は、鏡を背負籠に入れてもって歩く男を破廉恥だといって非難する! 鏡は泥濘を映し出す、そこで諸君はその鏡を非難しようというんだ! それより水溜りをこさえておくような大道をとがめたまえ。いやそれより、水がたまって水溜りができるままにほっておく道路監督を非難したまえ。(p.213)

 『赤と黒』の中にちょっとした小説論が挿入されてたので、書き抜いておく。岩波文庫のカバーにも「スタンダールの鋭い歴史感覚は時代の精神をみごとにとらえた」と書かれている。
 小説であれ神学であれ、時代を映し出す鏡には、同時に未来の影が不気味に透けて見えてくるものである。


 しばらく英語やフランス語で小説を読むのをやめていたが、文学のない生活はやはり物足りない。
 少しずつでも、時に中断してでも、読み続けることにしよう。