- 作者:フランシスコ会聖書研究所
- 発売日: 2013/02/04
- メディア: ペーパーバック
しかし、今回大部分は引照つきの新共同訳(旧約続編がついてないもの)を読んだのであった。
私が好きなのはヨナ書。巨大な魚に呑み込まれその腹の中で三日三晩過ごした話は、ピノキオの原型であると同時に、キリストの原型でもある。
だがそれよりも、悔い改めて何事も起らなかったニネベについての、神とヨナの会話が好きなのだ。
神はヨナに言われた。
「お前はとうごまの木のことで怒るが、それは正しいことか。」
彼は言った。
「もちろんです。怒りのあまり死にたいくらいです。」
すると、主はこう言われた。
「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこには、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだから。」(4 :9-11)
ヨハネの黙示録は何だかよく分からない書物であったが、田川建三の『キリスト教思想への招待』(勁草書房)を読んで大分理解が深まった気がする。
ハルマゲドンの最終戦争やキリストの千年王国ばかり取り上げられるけれど、この書の本質は未来の予言などではなく、現在における地に足の着いた現実認識である。