本の覚書

本と語学のはなし

ハイデルベルク信仰問答/吉田隆訳

 十六世紀、プファルツ選帝侯フリードリヒ三世のもとで作られたプロテスタントのカテキズム。カルヴァン派の傾向。改革長老主義教会で今もよく読まれているらしい。
 プロテスタントは私には厳しすぎると改めて思う。


 カトリック批判は随所に現れるが(それがプロテスタントである)、最もはっきり名指しして書かれているのが問80である。これは第二版で付加され、第三版でさらに幾つかの文言が足された(引用中、〔 〕内の言葉)。
 「主の晩餐と教皇のミサとの違いは何ですか」という問いに対する答え。

主の晩餐がわたしたちに証しすることは、
  イエス・キリスト御自身が
  ただ一度十字架上で成就してくださった
  その唯一の犠牲によって、
  わたしたちが自分のすべての罪の
  完全な赦しをいただいているということ。
  〔また、わたしたちが聖霊によって、
  キリストに接ぎ木されている、ということです。
  この方は、今そのまことの体と共に
  天の御父の右におられ、
  そこで礼拝されることを望んでおられます。〕
しかし、ミサが教えることは、
  今日も日ごとに司祭たちによって
  キリストが彼らのために献げられなければ、
  生きている者も死んだ者も
  キリストの苦難による罪の赦しをいただいていない、
  ということ。
  〔また、キリストはパンとブドウ酒の形のもとに
  肉体的に臨在されるので、
  そこにおいて礼拝されなければならない、
  ということです。〕
このようにミサは、根本的には、
  イエス・キリストの唯一の犠牲と苦難を否定しており、
  〔呪わるべき〕偶像礼拝に〔ほかなりません。〕