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英語と文法【英語】

The Summing Up (Vintage Classics)

The Summing Up (Vintage Classics)

サミング・アップ (岩波文庫)

サミング・アップ (岩波文庫)

  • 作者:モーム
  • 発売日: 2007/02/16
  • メディア: 文庫

One of the differences between French and English is that in French you can be grammatical with complete naturalness, but in English not invariably. (p.40)

英語とフランス語の違いの一つは、フランス語では文法的に正確に書いてもごく自然な感じであるのに、英語だと必ずしもそうではないことだ。(p.53-54)

 タイムの遅れを取り戻すために無理をするのはやめることにした。欲張りすぎない程度に他のこともやりながら、徐々に追いついて行けばいい。
 そんな訳で、久しぶりに読んだモームから、印象的な文を書き抜いておいた。

He was no slavish admirer of logic and was willing enough to give usage right of way through the exact demesnes of grammar. (p.39)

彼〔ファウラー〕は盲目的に論理を尊重する人ではなくて、文法の厳密な規則にも拘わらず慣用を優先させるのを厭わなかった。(p.53)

 こちらは文章の構造を読み解くのにちょっと手間取った。Usage が間接目的語、right of way が直接目的語と考えると、得心が行くようだ。慣用に通行権(たぶん)を与える。どこを通る通行権かと言えば、厳密さを要求する文法の領地である。
 これを噛み砕くと、行方の訳になってもおかしくはない。