本の覚書

本と語学のはなし

イサク【ヘブライ語】

Biblia Hebraica Stuttgartensia

Biblia Hebraica Stuttgartensia

וְקָרָאתָ אֶת-שְׁמוֹ יִצְחָק

彼をイサクと名づけるがよい。

 創世記17章19節より。日本語訳は岩波のもの(月本昭男訳)。神がアブラハムに語りかけ、イサクの誕生を言い渡す場面である。
 原文だとイサクはイツハクであり、「彼は笑う」というような意味である。17節では、年老いた自分とサラの間に子供ができようかと、アブラハムは内心笑った。それがイツハクである。
 また、後にサラは神の使いの言葉を聞いて、やはり内心笑った。18章12節では、これはティツハクである。ヘブライ語の動詞は、人称や数だけではなく、男女によって形が変わる。サラが主語の場合には、女性形のティツハクになるのである。
 さて、生まれた子供は神の命じたとおり、イサク(イツハク)と名づけられた。サラは言う、「神は私に笑いを下さった。〔これを〕聞いた者は誰でも私に笑いかけましょう」(21章6節)。この「笑いかけましょう」も、イツハクである。
 ちなみに、「私に笑いかけましょう」はイツハク・リーであり、これは「イツハクは私のもの」という意味にもなる。岩波訳の注によれば、「誰が老齢出産を嘲笑しようと、イサクはわが子、という含みがある」とのことだ。
 聖書を読むのに必ずしも原語を尋ねる必要はないけれど、ほんのちょっと知識があるだけでも随分楽しみが広がる。