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本の覚書

本と語学のはなし

ニューズウィーク日本版 May 2 / May 9, 2017

 タイムは正面から政治を取り上げることもあるけど、どちらかというと側面から、取材を通じて様々な声を拾い上げつつ、アメリカの、世界の今の様相を炙り出していく記事が多い。
 一方でニューズウィーク日本版は、政治を俯瞰的、大局的に論じる記事ばかりである。タイムを補うためには読むべきかもしれないけれど、昼間のワイドショーとそれほどレベルが変わらないような気もする。
 果たして定期購読するべきか。タイムを丁寧に読み始めているところでもあり、その成果が出るまで、今少し待ってみるべきか。新聞やウェブ上のニュースにもっと丹念に目を通し、それで十分か検証するまで、判断を保留するべきか。
 どう決断し、何を選択するにせよ、継続するのが一番大事である。

Perspectives

 ニューズウィークの最初に Perspectives というコーナーがある。その週のインパクトある言葉を引用するものである。
 その中の一つ。

太陽を目指して飛ぶような難局をも乗り越え、成功に導くだろう。


キッシンジャー元米国国務長官――タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の推薦文で。「幅広い教育を受けた」「ビジネス能力がある」など平凡な言葉を羅列しただけでなく、傲慢の象徴であるギリシャ神話のイカロスを引き合いに出したことも皮肉めいていると話題になった (p.5)


 この部分の原文をタイムから抜き出しておく。

As part of the Trump family, Jared is familiar with the intangibles of the President. As a graduate of Harvard and NYU, he has a broad education; as a businessman, a knowledge of administration. All this should help him make a success of his daunting role flying close to the sun. (p.30)

 私はこの部分をすでに読んでいた。
 凡庸な褒め言葉はこの特集で度々目にするから、気にも留めなかったのは仕方ない。しかし、イカロスへの言及が皮肉であることには思いを致すべきであった。まだ私はタイムを全く読みこなせていない。
 「太陽を目指して飛ぶような難局をも乗り越え、成功に導くだろう」という翻訳について言えば、ちょっと違うのではないか。キッシンジャーが凡庸な言葉で褒めたその能力やアドバンテージによって、クシュナーは太陽目指して飛翔する困難な役割を首尾よくやり遂げるだろうということではないか。

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