本の覚書

本と語学のはなし

新約聖書・ヘレニズム原典資料集/大貫隆・筒井賢治編訳

新約聖書・ヘレニズム 原典資料集

新約聖書・ヘレニズム 原典資料集

 新約聖書の内容と類似性のあるヘレニズム期の文献を、原典からの抜粋で紹介する本。類似性があるからと言って、必ずしも直接の影響関係があるとは限らず、それは共通の思想的、文化的土壌を示しているだけの場合もあるし、かえってその共通の土壌からキリスト教の個性と独自性が見えてくる場合もある。編者としては後者を狙いとしているようだ。


 どこでもいいが、一つだけ。
 パウロが言及する異言(グロッソラリア)というものについて。主客未分の宗教体験を言語にならない言語で発するもののようだが、これはコリント教会でのみ突発的に起きたものではなく、ヘレニズム宗教文化において広範囲に見出される現象であるという。
 いくつもの引照がなされる中から、『ギリシア語魔術パピルス』の一節。

 なぜなら、わたしは火急で辛苦かつ容赦なき必要に迫られて、いまだかつて死すべき本性の人間の中に入ったこともなければ、人間の舌や音声で分節されて語られたこともない活ける尊い名前を連呼するからである。エーエオー・オエーエオー・イオーオー・オエー・エーエオー・オエー・エオー・イオーオー・オエーエーエ・オーエーエ・オーオエー・イエー・エーオー・オオー・オエー・イエオー・オエー・オーオエー・イエオー・オエー・イエエオー・エエー・イオ―・オエー・イオエー・オーエーオー・エオエー・オエエー・オーイエー・オーイエー・エオー・オイ・イイイ・エーオエー・オーウエー・エーオーオエーエ・エオー・エーイア・アエーア・エエーア・エーエエエー・エエエー・エエエー・イエエー・エーエオー・オエーエエオエー・エーエオー・エーウオー・オエー・エイオー・エーオー・オーエー・オーエー・エエ・オオオ・ウイオーエー。(大貫隆訳)(p.227-8)

 タイポがあるかもしれないが気にしないでほしい。とてもチェックする気になれない。