宗教改革の洗礼を受けてスリムになったカトリックという趣き。使徒継承を重視し、その典礼も儀礼的ではあるが、信条的には最低限のことを受け入れてさえいればよく、けっこう自由であるらしい。
「多様性の中の一致」を唱える彼らを緩やかに繋ぐのは、一冊の祈祷書。
一冊の祈祷書のみで、朝、夕の礼拝、聖餐式、洗礼式、結婚式、葬送式、聖職按手式(後に追加された)などが載せられており、それを読めばその儀式の意味が理解できるようになりました。また祈祷書の三分の二を占めるといわれる聖書の意味も、儀式との関連で理解できるようになったのです。また、クランマー自身が堅信式の準備のために書いたと言われる「公会問答」が含められ、信徒教育の重要な文書とされたことも特筆すべきことでしょう。(p.91-92)
この一冊のみで、教会生活のほぼ全てがカバーできるというのは素晴らしい。
そして、この祈祷書に組み込まれた教会問答の日本聖公会バージョンに解説を施したのが、本書である。
カトリックなのかプロテスタントなのかはっきりしないとか、明確な信条がないのではないかと不満に思う人もいるだろうけど、その分偏りなくキリスト教のボトムラインを示してくれているようである。
聖公会の人でなくとも、お薦めできる。
ただし、聖公会はカトリックと似ていて、礼拝共同体である。実際に教会に足を踏み入れなくては、本当のところは分からないだろう。