カトリック教会文書資料集―信経および信仰と道徳に関する定義集
- 作者:ハインリヒ・デンツィンガー,浜寛五郎
- メディア: 単行本
『カトリック教会文書資料集』は、古代の信経および1964年までの信仰と道徳に関する文書資料を集めたもの(第二バチカン公会議の公文書は含まれていないが、それは容易に入手できる)。
例えば大勅書 Exurge Domine においてレオ10世は、ルターの誤謬を指摘して(ほとんどルターの命題をそのまま引用しているようだが)言う。「上にあげた全部と各条項すなわち誤謬はそれぞれ、異端、つまずき、あやまち、信者の耳に傷をつけるもの、素朴な人々を誤りに導くもの、カトリックの真理に反するものとして、有罪であると宣告し、非難し、完全に排斥する」。
個々の文書を集めたり読んだりするのは容易ではない。主要な部分を集めて一冊にしてくれているのはありがたい。カトリックならば(あるいはカトリックを攻撃したいならば)、カテキズムとともに手元に置いておきたい本である(翻訳版は入手困難であるとは思うが)。
『聖書年表・聖書地図』は近頃第12刷が発行されたのを購入した。ものすごく詳しいと言うほどではないかもしれないが、普通の用途には十分だろうと思う。
著者はカトリックの司祭だが、だからといって最新の聖書学を無視するものではない。年表を見れば、著者は明らかにマルコを最初の福音書と考えているし、パウロのものと伝えられる手紙の一部はパウロのものではないと考えている。
カトリックではマカバイ記が第二正典でもあることもあって、その理解に資するよう構成されている。カトリックというだけで拒否反応を起こす人もいるだろうけど、マカバイ戦争を含む中間期の歴史を知らずに新約を読んでも面白くはない。正典と思う必要はないが、せめて資料としてマカバイ記(あるいはヨセフス)に取り組むことをお勧めしたい。