- 作者:日本聖書学研究所
- 発売日: 1977/11/20
- メディア: 単行本
それぞれ新共同訳続編つきでのタイトルを示すと、知恵の書、シラ書〔集会の書〕、バルク書、エレミヤの手紙、マナセの祈り、ダニエル書補遺(アザルヤの祈りと三人の若者の賛歌、スザンナ、ベルと竜)、エステル記(ギリシア語)。
この内、マナセの祈り以外はカトリックの第二正典として扱われており、フランシスコ会訳を見ると、エレミヤの手紙はバルク書の末尾に、ダニエル書とエステル記への付加はそれぞれの書の中に配置されている。
エステル記について言うと、「聖書外典偽典」では全編をギリシア語の七十人訳から訳している。これは新共同訳続編つきでも同じことで、一から十まで数字がついている章は、ヘブライ語の正典とは大分異なる部分があるとはいえ、それと対応する箇所であり、AからFまでのアルファベットのついた章が付加部分である。*1
一方フランシスコ会訳の場合、数字の章の部分にはヘブライ語正典を用い、付加部分にはギリシア語七十人訳を用いている。しかし、これだと内容的に齟齬を来たすことにもなりそうである。例えば、D章は「三日目に」と始まり、続く五章はその続きのはずだが、また「三日目に」と始まってしまう。七十人訳では、五章の冒頭をカットしているのである。
「聖書外典偽典」でエステル記を訳した土岐健治は、これを悲劇的とまで言っている。