本の覚書

本と語学のはなし

緒論概論【購入】

 元は堤さん所有の新約聖書緒論。幸い、私は線が引いてあったり書き込みしてあったりする本に何の抵抗もない。むしろ、きちんと勉強している人のそれであれば、参考になって面白い。


 元は足立さん所有の基督教神学概論。昔の人は本に自分の名前を書き入れるのが好きだったようである(特にキリスト教関係者に多いような気もするが)。足立さんは律儀に定規を使って鉛筆で線を引く。最重要の所には、赤鉛筆で文字の中心を通るように線を引く。私のずぼらな線の引き方が恥ずかしい。

これは教会の権威の問題と関連するが、我々にはローマ・カトリック教会の如くに教会の権威を考えることはできない。そこでは、所謂「使徒伝承」(Apostolic Succession) の主張よりして、又ローマ教会独特な意味の受肉の教義よりして、教会をキリストの再受肉と解し、教会に於ける神的方面と人間的方面との混同が行われている。かくしてキリストにまでそして彼にのみ帰すべき権威が、教会の人間的方面にも帰せられ、又受肉の名の下に神的なものの物質化が認められ主張される。我々は、こうした事実を、教皇の無謬説に、又教職制度と礼典の見解(殊に所謂化体的な聖餐観)に、そして更にマリヤと諸聖徒への礼拝な行為に見出すことができる。(p.370-371)

 原文は旧仮名遣い、旧漢字であるが、読みやすいように直しておいた。