本の覚書

本と語学のはなし

ユダヤ古代誌4/フラウィウス・ヨセフス

 いよいよ新約時代篇に入る。と言っても、まだイエスの同時代には突入しない。旧約と新約をつなぐ中間の時代である。
 アレクサンドロス大王の死後、その王国は分裂し、ユダヤはシリアとエジプトの間にあって難しい立場に置かれるが、シリアの脅威に対してはマッティアス(マタティア)が立ち上がり、いわゆるマッカバイオス(マカバイ)戦争を戦って、独立を勝ち得た(旧約続編つきの新共同訳を持っている人は、マカバイ記でその辺りの事情を学ぶことができる)。以降、ユダヤはアサモナイオス家が支配するのだが、年月とともにその支配も内部分裂を来たし、やがてヘロデがこれにとって代わり、ユダヤの王となる。
 ヘロデ大王はイエス誕生の頃に新生児の虐殺を命じたとマタイは報告する。これは作り話だろうけど、あるいはヘロデがユダヤの内乱を平定した時の陰惨な虐殺の記憶が、形を変えて誕生したものかもしれない。
 ヘロデの統治についても知りたいところだが、それは次の巻のお楽しみ。


 とにかく同じ名前が多すぎて、混乱する。人物の関係がよく分からないまま読み進めたところもたくさんある。
 6巻の巻末に索引はあるけど、できれば簡単な人名辞典をつけてもらいたかった。