本の覚書

本と語学のはなし

1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド 小説のメソッド〈初級編〉/奈良裕明

 この本の一番の特徴は、ハコガキなるものでプロットを作ってみようという提案である。まずハガキより少し小さめのメモ用紙の束を用意する。一枚(これが箱)につき一つのシーンの概要を書き込んでいく。書くべきことは、場所、時間、登場人物、出来事、主な台詞。これで唐突なご都合主義を排して伏線を張ることもできるし、カードを並べ替えて最適なストーリーの順序を模索することもできる。余計なものを削り、必要なものを足して過不足のない物語を組み立てやすくなるというのだ。
 もちろん、すべての小説にハコガキが有効だというわけではないし、ハコガキを作らずに書き始めては絶対にダメというわけでもないし、いったん作ったハコガキが絶対というわけでもない。
 が、やっぱり設計図はある程度作っておいた方がいい。素人はぜひ作ってみなくちゃならん。私は短編小説の集いで小説を三つ書いたが、以前この本を読んだ記憶がどこかにあったようで、この本で紹介されるハコガキそのものではないが、似たような作業をしていた。それをしなかったら、十枚程度の駄作でさえ書けなかったろう。


 それで、今後も小説を書き続けていくのか。それは分からない。ちょっと厳しいかなとは思っている。しかし、短歌もやめて小説もやめてでは、せっかく創作に目覚め始めたというのに、元の黙阿弥になってしまう。
 なんとかしなくては。なんとかなるのか。