本の覚書

本と語学のはなし

ト音はゲーでジーはガンマで ―【第5回】短歌の目―


 今回「手帳」と「花火」のお題を出させてもらいました。
 手帳は年末(年度末)や新年(新年度)と関係のない今、あえて詠んでみてもいいのではないかと思いました。しかし、自分でリクエストしておきながらなんですが、とても作りにくかったです。訳の分からないだろう歌になってしまいました。そういえば、私はもう何年も手帳など持っていないのでした(スマホも持っていません)。
 花火は来月の方がよかったでしょうか。まだ気分が乗らないかもしれませんね。私の住んでいるところの花火大会も、実は来月初めでした。すみません。

7月のお題

1. 手帳
(むな)手帳てちょう T 女照る日をΓ(かっこ)閉じ ト音は g ゲーg ジーγガンマ

2. 花火
花火ズンドコズンだいちドコゆるるズンドこのよるズンドコきよし

3. 虫
夏の月 虫を殺すか殺さずに虫を殺してくれと言い来る

4. 白
白日のシャボン玉テロ襲い来ししろがね自転車ヴェロ 童女は消えぬ

5. アイス
融けかけたアイスを剥がす匙のごと貧民窟で憤死しようか

6. プール
ペティナイフ彫りし手相に迷いおる駱駝は瘤のプールに溺る

7. すず
山猫座超銀河団すずなりの海辺の町ゆ重き風吹く

8. アンタレス
恒河沙ごうがしゃの星の血を喰うアンタレス 指の記憶が問わず語りに

9. 雷
いかずちを孕める夢か 葡萄酒の海の玉藻と寝くたるる髪 *1

10. ぬばたまの【枕詞】
ぬばたまの逃れ着きたるシャノアール ワタシノアイハマダイキテイル

*1:柿本人麻呂の「我妹子(わぎもこ)が寝くたれ髪を猿沢の池の玉藻と見るぞ悲しき」にイメージを借りています。池に身投げした采女(うねめ)の歌のようです。