本の覚書

本と語学のはなし

今はじめる人のための短歌入門/岡井隆

 現代短歌界の重鎮による入門書。短歌は決して簡単なものではないことを力説する。
 内容は少し古めかしいようなところもあるし、例歌もあまり新しいものは出てこないから、とっつきにくいかもしれないけど、短歌の歴史の中に立って、本格的に作歌をするつもりがあるならば、やっぱりのぞいておいた方がよさそうだ。
 私にはその覚悟はなく、おそらく実作は一年程度の限定的な試みで終わるのだろうけど。
 三十一文字でそれらしいことを言い紛らすのはまだしも容易である。誰でもできると言ってよい。しかし、だんだん自作のあらが見えるようになってくる。本当に満足のいくものはいつになったら作れるものか見当もつかない。まして、プロの歌人の歌の鑑賞が進むにつれて、韻律としての短歌ということに嫌でも眼を開かざるを得なくなる。そんなもん、作れるはずがないのだ。
 私の絶望などはどうでもよかった。

 入門書はあと一冊くらいにしておく。加藤治郎の『短歌レトリック入門』とか。それが終わったらアンソロジーを読みつつ短歌史を学ぶ。
 本当は歌集も読むべきだろう。これは岡井隆永田和宏も勧めている。しかし、私の短歌への情熱はアンソロジーどまりであろう。