- 作者:大和 和紀
- 発売日: 2001/07/31
- メディア: 文庫
『源氏物語』のテーマであったかどうかは知らないが、現代的に解釈し直された『あさきゆめみし』の場合には、女性の自由ということが大きなテーマであるには違いない。
『あさきゆめみし』のタイトルの秘密は、最後に引かれたいろは歌にある。「色は匂へど散りぬるを、わが世誰ぞ常ならむ、うゐの奥山今日超えて」の後、普通であれば「浅き夢見じ、酔ひもせず」となるのだが、ここでは「あさきゆめみし……」となっている。あえて「し」に濁点を打たないのだ。
「じ」なら否定の意思を表す助動詞「じ」の終止形、しかし「し」ならば過去を表す助動詞「き」の連体形である。常に出家への願望を持っていながら、夢の内に生きた源氏をよく象徴しているようである。
ただし、『源氏物語』にいろは歌が載せられているわけではない。
さて、一気に読むのはさすがに疲れるのだが、残りは宇治十帖編2冊であるし、このまま明日にも読み切ってしまおう。