本の覚書

本と語学のはなし

あさきゆめみし (2)/大和和紀

あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)

 六条御息所は伊勢に下り、葵の上との間に男の子ができたと思ったら妻は死に、幼少の頃に攫ってきた紫の上ととうとう契りを交わし、藤壺の宮は尼になり、気立てのよい花散里に慰められ、朧月夜との関係などのために須磨、明石へと流され、そこで明石の君との間に女の子が生まれ、許されて都に戻ると藤壺との間の不義の子が冷泉帝として即位し、六条御息所が死んだ後その娘の斎宮を養女にして冷泉帝のもとに入内させる、などなど。


 源氏も天皇の子であるから、血統としては問題ないのかもしれないけど、父帝の妃との間の密通の子が天皇に即位するなんて、今なら却って書けないストーリーだろう。それを当時宮廷に仕えていた女房が書いて持て囃されるのだから、平安時代の皇室観は今とは全く別ものだったのかもしれない。